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稽古場レポート改め劇場レポート! vol.1
今回は初日編をお届け!
兵庫公演までの束の間、こちらを読んでお待ちください・・・!


劇場レポート!*初日編*
はじめにおことわりしておくが、これは9月14日、初日の昼間の出来事である。
劇場に着いたのは午前中。緊張気味に楽屋へ入る。だって今日は初日なんである。場当たりとゲネ(本番同様の通し稽古)と本番と、その合間にごはんや手直しや、いろんなことが待ち受けてるんである。これはあれだな、あんまり話しかけたりとか、しちゃいかんな……と思いきや、行き交う面々はわりと笑顔。「おはよーございまあす!」とか、普通に言われてしまう。だからこっちも、思わずつられる。「どうですか調子は?」とか聞いてしまう。最初にその壁を破ってくれたのは、辻本祐樹だ。

辻本「んーまだわからないですねえ……だって、あの客席にいっぱい、お客さんが入るわけですよね。そしたら、いきなり緊張しそうで!」

なんて言いつつ、やっぱり終始笑顔である。大丈夫ですよ、そんな笑顔を見せられたら、キャストもスタッフもお客さんも、みーんな味方になっちゃいますから!……などと言い返す間もなく走り去る背中を見送る。

ゲネが始まるまでの短い時間、演出の井関佳子に興味深い話を聞いた。作戦や戦略どうこうではなく、彼女自身がひとりの観客として「素敵だ」と思う*pnish*の姿を、舞台に乗せたいのだと言う。

井関「彼らがいちばん素敵なのは、肩ひじ張らない素直な姿。本人たちが“カッコよく見せよう”とか“可愛く見せよう”とかしはじめちゃうと、なんか違うんですよ。“君たちはそれでカッコいいと思ってるかもしれないけど、実はそうでもないんだよ?”って思っちゃう(笑)」

たとえば今回、佐野大樹に与えられたキャラクター。それは常時がむしゃらで無鉄砲で……という得意のキャラとは、若干違う。どこか抜けていて、マイペースで。テンションは高いんだけど、どちらかといえば、のほほん風味の青年像。それを彼が少しでも、「のんびり見せよう」とか「コドモっぽくやろう」としてしまうと、井関はビシッと見抜いて指摘する。「今のは、タジ(今回の役名)の気持ちが伴ってないよね?」。

佐野「力まないように、力まないように……って思ってやってます。長ゼリフだと、まだ力んじゃうんですけどね。噛まずにちゃんと言わなきゃ!って思っちゃうから(笑)」

*pnish*にとっての、2007年。ただただ大汗かいて、全力疾走してさえいればカッコいい!なんて季節はとっくに過ぎた。順に三十路を迎えようとしている彼らにとって、次に踏み出すべきステップは、たとえばこんなことなのかもしれない。

鷲尾「今回はいつもみたいに、ひとりずつのキャラの強さで押し切れるような芝居じゃないんですよ。みんなの会話とか空気感とかを、ひとつずつ噛み合わせながら組みあげていく芝居だと思う。だからひとりでも個人プレーに走っちゃうと、全体のバランスが崩れてしまう。そういう芝居は初めてだから、たくさん悩んだし、迷いましたね」

森山「稽古中は、なんとなく手ごたえが物足りなかったんですね。これはきっとキャラクター性が弱いせいだ、って思って、ぎりぎりまでネタをあれこれ考えてた。でも、稽古場での最後の通しくらいのころから、“……あ、なんか違う”って思って。探るべきはキャラクターのインパクトじゃなくて、アズマ(役名)の心境とか、気持ちの流れとか、そっち方面なんですよね」

台本に書かれていない、登場人物の余地。のりしろ。演じしろ。それらを、演じ手本人が自力で埋めなければならない。台本を受け取ったとき、「あ、なんにも書かれてない」と思うのか、「わー、いろいろやれるぜ♪」と思うのか。そこがわりと、大切な分かれ道なのかもしれない。

もちろん客演陣だって、うかうかしてはいられない。心の置き場所と、観客との距離感について、毎日悩んでいるのは木村靖司。とあるシーンの、とある仕掛けの必勝法について、模索中なのは加古臨王だ。スタッフのひとりを黒子にして、そばまで出てきて手渡してもらえばいいんじゃない?…的な案が出された瞬間、彼はつぶやいた。

加古「黒子に(笑いを)持ってかれるのも悔しいんだよなぁ……」

そして束の間の食事休憩。肉と魚、2種類用意されたお弁当の、売れ筋ぐあいがこの座組の貪欲さを映し出す(写真)。肉だ!力だ!テンションだ!! 燃える闘魂の日々が始まった。

取材・文:小川志津子
| 稽古場レポート! | 21:19 | comments(1) | - | pookmark |
稽古場レポート!vol.4
驚くことに、早くも稽古終盤戦である。大きい稽古場に移動して、繰り返される通し稽古。最初から続けてやってみると、それまでは気づかなかったあれこれが顔を出す。あのセリフとこのセリフの間に、移動時間が必要だなあ、とか。芝居が大きくなる分だけ、テンポが重くなっちゃうんだなあ、とか。行われているのはいつもと同じやりとりのはずなのに、届き方がまるで違う。それは演じ手たちにとっても同様な様子。たとえば辻本祐樹。「追っ手から逃げながら人にぶつかる」という、今まで難なくできていたはずの芝居が、なぜかどことなくぎこちない。……とはいえ「もっとのびのびとやっちゃっていいよ」との演出家の言葉を受け、「はい」って笑顔を見せたと思うと、何度目かにはすんなりできちゃったりする。
これだから、稽古場取材はたまらない。役者たちが、変わりゆく瞬間。そう頻繁には訪れない、奇跡のかけらたち。

愉快痛快なテンポで進む物語。だがこの物語には、大切なメッセージが秘められている。溜めに溜め、思いを込めて演じる役者たち。しかし井関は言う。
「全体的に、もっと軽やかに。その軽さの中に、真実の音色をこめて」。
彼女が示すハードルは、いつだって、役者の目線よりちょっと高めだ。佐野大樹に「馬鹿さとコドモさ加減がもっとほしい」とオーダーし、彼がそれを確実にクリアしてきたのを受けて、井関が告げた次なるオーダーはこうだった。
「馬鹿でコドモなんだけど、今起きている事態の理解度は、実は誰よりもある男」。
キャラの多面性、一気に上昇。愛すべき登場人物たちは、こんなふうにして形作られていく。

もうひとつ、見学しながらやられてしまった光景がある。通し稽古後のダメ出しで、木村靖司と井関が交わしたやりとり。前の稽古で「このセリフは要らないかもね」と決着していた、あるひとことについて。
 
木村「……あのセリフ、今日は何だか言いたくなっちゃったんだ」
井関「私も、観ててそう思いました。なのでここは、そのときのお気持ちにおまかせします」

役者の生理と、演出家の生理。そして他ならぬ、観客の生理。稽古というのは、それらがびしっと噛み合う瞬間を探して、繰り返されるものなのかもしれない。

休憩時間。いじられ王・別紙慶一が、今日もみんなにいじられている。いつもなんとなくイマイチで、なかなかキメられずにいるセリフについて、みんながあれやこれやと助言をしていく。
「いっそ、誰か、好きな役者さん風にやったらいいんじゃないの?」
「あー、阿部サダヲさん風とかは?」
「いいねえ、もちろんできるよねー、べっちー?」
……みんなにそう言われてしまうと「や……やりますよ」としか言えない別紙。問題のシーンを控え、若干目が泳ぎ気味の彼に向かって、湯澤がドアの向こうから顔だけのぞかせて言った。
「ジム・キャリー風でたのむわ」
……何かを言い返す隙もなく、鼻先で閉められたドアを前に立ちつくす別紙慶一。その試行錯誤の行方については、ぜひ劇場でご確認を。
そしていつしか、最後の稽古が終わる。やり残したことをずるずると引きずるのではなく、井関からはわりときっぱり、稽古の終わりが宣言された。「それでは皆さん、お疲れさまでした。がんばりましょう!」。明るい声と拍手が稽古場を満たして、さあ、池袋・東京芸術劇場へ出陣だ!

(取材・文:小川奈津子)
| 稽古場レポート! | 14:52 | comments(5) | - | pookmark |
稽古場レポート! vol.3
稽古場へ続く階段を下りると、中から何やら聞こえてきた。笑い声やら、悲鳴やら。
稽古前恒例、サッカー大会である。
稽古前のサッカーというのは、わりと有効だったりするらしい。こういう光景を、
あちこちの現場で目にする。いいオトナたちが、ボールの行方に一喜一憂。汗だくでかけまわるうち、次第に「チームプレイ」が形を成していく。ボールを目で追いながら、チームメイトの位置を確認してパスをするとか。自分からのアクションだけでなく、相手の目線を受け取ってリアクションするとか。4チームに分かれての、今日までの勝敗はごらんのとおりだ。
……土屋チーム形勢不利。

 少しの休憩を取ってから、演出の井関から台本の直しが告げられる。ペンを手に手に集結する一同。さっきまでの歓声が、嘘みたいな静寂。


この日の稽古は、物語のクライマックスシーン。それぞれの真意が明かされて、いくつもの点と点が結ばれていく大切な場面だ。直しの入った台本を、一度全員で読み合わせてみる。そうすることで、いろんなことが見えてくる。役者とせりふの相性とか、それによって醸し出される予想外のニュアンスとか。「今のせりふは、なくてもいいかもしれませんね」。そう告げられているのは木村靖司だ。説明が、なくても伝わる。こうした信頼と英断から、芝居はうねり出していく。

休憩時間。見るとお茶場で湯澤幸一郎が、何やら赤い液体をかき混ぜている。あまーい、懐かしい匂いがしてくる。あの、何を作ってるんですか?

湯「ゼリエースです。」

……少なくとも、稽古場でいちごゼリーを作る舞台俳優を、私はほかに知らない。ていねいにふたをして、水平を保って冷蔵庫へ。その後もことあるごとに、固まりぐあいを確認している。水槽の金魚や虫かごのカブトムシの、生育ぐあいをのぞき込むみたいに。

ゼリエースが固まる間にも、着々と稽古は進む。容赦ないアクションシーンの連続。たくさんの「段取り」を、しかし「段取り」に見えなくなるまで練り上げなければならない。こういうときの、井関の指摘は痛快なまでに的確だ。
井関「ドタバタシーンだからこそ、(相手の気配を)ちゃんと受け取って、ちゃんと計算してほしい。でないと、ほんとにただのドタバタになっちゃうから」
 自分の次の動きにばかり気を取られていると、アクションは「ただのアクション」になってしまう。だけどこれは、芝居なんである。それぞれの動きに、それぞれの理由があるのだ。そのへん、さすがの仕事ぶりを見せる新田将司。あーこの人こういうことしそうだなあ、っていう説得力が匂いたつ立ち回り。ワカモノ陣も大いに奮闘。劇場ではぜひ、彼らの一挙手一投足に目をこらすべし。……なんて、こっそりハードルを上げてみる。

それにしても、稽古と休憩の切り替えが上手な人たちだ。吉田と新田が、某稽古場近くの焼鳥屋の話をしている。焼きおにぎりが「ハンパない」らしい。だけど「40分くらい待たされる」らしい。上の階の喫煙コーナーからは、なぜかドレミファが聞こえてくる。微妙にハズれる者、若干名。「周囲と波長を合わせる」ことにおいて、音階も芝居も同じなのだと井関。その言葉を佐野大樹が、目ん玉飛び出そうな顔して聞き入っている。さっきのゼリエースも、そろそろ固まった様子。ひとくち分けてもらったら、夏の終わりの味がした。

(取材・文/小川志津子)
| 稽古場レポート! | 02:15 | comments(6) | - | pookmark |
稽古場レポート! vol.2
あの稽古初日から数日が経過。
殺陣指導の清水大輔が参戦して、昼間は集中的にアクションシーンを組み立てている。その作業、超入念。だって「お芝居におけるアクションシーン」というのは、ただカッコいいだけじゃダメなのだ。それぞれの役柄の性格とか立ち位置とか、小ボケとか大ボケとか、そういういろいろを踏まえないといけない。「この人はこういうキャラだから、相手の攻撃をこうかわしてこう反撃する」。そのひとつひとつを想定しながら、ときに井関と相談しながら、清水はその場でアクションを考えていく。井関もそれに呼応するように、新たなセリフを思いついちゃったりする。これはもはや「セッション」だ。役者と演出家と殺陣指導、三つ巴で織りなすセッション。

そして語弊を恐れず言うならば、*pnish*のアクションシーンというのは、限りなくマンガのそれに近い。超強力キャラの一撃を食らって、ぼーん!と横っ飛びにすっ飛んでいかなきゃならなかったりする。物理的にムチャな横っ飛びを、CGや特殊効果なしで。完全ナマミで。それを告げられた加藤学が、一瞬息を呑む。「へ……へいきっす」。全然平気そうに聞こえないそのつぶやきに、思わず笑いが漏れる。

その一方で、思わずやりすぎてしまう者もいる。土屋裕一。攻撃を受けてからやり返す、その間のほんの1秒にも満たない小芝居を、彼は何倍にもふくらませてしまう。待ってましたと言わんばかりに。ほっといたらいつまででもやってそうなくらいに。「ん……そこまでは要らないから(笑)」と苦笑いする清水も、でもやっぱり楽しそうだ。

そんな中、異彩を放つのが長谷川哲朗。遠目だと若干次長課長河本似な彼の芝居は、なんていうんだろう、いろんな意味でブレがない。ハードなアクションの連続で、周囲のボルテージがみるみる上がっても、彼だけは平熱ゾーンを絶妙に突き進む。その独特の「そらっトボケ感」が、観る者のツボをひくひくっとくすぐる。あれはいわゆる天然なのか、はたまた気高い計算なのか。うーん目が離せん。

さて、次に「目が離せん」くなるのは果たして誰か。愉快な男たちのバトルは続く。

(取材・文/小川志津子)
| 稽古場レポート! | 23:25 | comments(2) | - | pookmark |
稽古場レポート! vol.1
いよいよ始動、である。
1年ぶりの*pnish*本公演にして、「ボックスシリーズ」最終作。
『シークレットボックス』の稽古がこの日、始まった。

稽古開始、30分前。脳みそもとろけそうな灼熱地獄から稽古場のロビーに入ると、すでに来ている者が何名かいた。といって、自主練に励むなどのストイックな気配はなく。話題は佐野大樹の買ってきた「プレミアムカルピス」の是非について。「スリムボトルで明らかに容量減ってるのに値段が変わらないんだよー」とかなんとか。

笑い声を背に聞きながら、スタジオに入ってみる。今日からほぼ半月間、ここが彼らの根城になる。次第にキャストのめんめんが顔を揃える。「おー久しぶりぃ。夏負けしてんじゃねーの?」「お前こそ、寝起きみたいな顔してんじゃねーぞっ!」……出演者総勢16名、全員男子な今回の布陣。あちこちで軽口の応酬と、笑い声が炸裂している。たぶん男子校の新学期ってこんなんじゃないかと思う。行ったことないけど。

そうなると、演出の井関佳子はきっと担任の先生だ。ハイテンションな生徒たちの輪の中へ、むやみに割り入ろうとはしないけれど、するりと絶妙にいなしながら生徒たちと笑い合っている。

時間がきて、制作スタッフにうながされ、「顔合わせ」が始まった。一人ずつが順番に立って、「はじめまして」と自己紹介のご挨拶。演出の井関がまず口火を切る。

井関「“ボックスシリーズ完結編!”なんてあおられたりもする今日この頃ですけど(笑)、あまり意識しすぎずにまいりましょう。アツいけど、アツ苦しくはない舞台、を目指そうと思います」

出演陣のひとこと挨拶が、あとにつづく。ここばかりは何だかお行儀のいい挨拶を口にする*pnish*のめんめん。そして計12名もの客演陣もひとりずつ、抱負や野望を語っていく。ここぞとばかりに得意ネタを披露したのは、一見クールな吉田友一だ。

吉田「えー、京浜東北線の、車掌さんのものまねをやります」

……その後の微妙な空気も含め、このオモシロさを文字にするのは困難を極めるのでやめておく。

でも、そうなのだ。彼らにとって、ここでの挨拶はいわば最初の関門だ。チーム全体に、自分のキャラを知ってもらう。そのことで、試合のパスワークが円滑にまわる。
そう、闘いはすでに始まっているのである。

若者たちの様子を静かに眺めていたのは、コメディ界の老舗実力派劇団・ラッパ屋から客演の木村靖司だ。あらゆるカンパニーに出演し、百戦錬磨のはずの彼が、順番が回ってきたところでこう言った。

木村「こういう雰囲気の稽古場は初めてなので、動揺しています」

一気に和らぐ空気。笑う若者たち。照れながら座る木村。そして少しの休憩を挟んで、本読み稽古をすることになる。

休憩時間の過ごし方も、人それぞれだ。ソッコーで喫煙コーナーへ向かう者、親しい人間同士で馬鹿話に興じる者、なんとなく一人で台本に目を落とす者。辻本祐樹は、どちらかというと後者だ。かといって「話しかけんなオーラ」は一切なく、だからすぐ誰かが話しかけて馬鹿話に巻き込んでしまって、目尻を下げてあははははって笑っている。この、しなやかさ。目が離せん。

とか思ってる間に、本読み開始。いやはや何とも、女子のツボを知りぬいた本だ。揺れる瞳で「守ってほしい」と訴える少年(辻本)。「おう、守ってやる」とアニキ風を吹かしながらも、ドリフ的にドジだらけの痛快馬鹿男たち(佐野、森山、土屋)。心優しすぎて、最初の一歩が踏み出せない青年(鷲尾)。彼らの思いが渦となり、やがて奇跡を巻き起こす??そんな物語に、1ミリもときめかない女子がいたら手を挙げてください。

……というわけで、これから何回かにわたり、こんな感じの稽古場レポートをお送りいたします。ご意見ご要望など、あればWebまで何なりと!

(取材・文/小川志津子)
笑いの絶えない本読み風景楽しそうな*pnish*メンバー
| 稽古場レポート! | 19:44 | comments(2) | - | pookmark |